院長 医師 前川衛

石川県金沢市生まれ

富山医科薬科大学医学部(現、富山大学医学部)卒業後、日本大学板橋病院、東邦大学医療センター大橋病院等にて麻酔科医として勤務。

 

【資格】

麻酔科標榜医、日本麻酔科学会 専門医

国際実存療法士、公認心理師


 「実存主義」哲学の祖であるハイデガー、彼の師である哲学者フッサールは、「現象学」という独自の手法を確立した人物として知られています。(現象学についての細かな説明は割愛しますが)その重要なキーワードの一つに「エポケー」という用語があります。日本語で「判断停止」(※思考停止ではありません)などと訳される言葉で、その内容を思い切り単純化するならば…「先入観や思い込み、常識、バイアスなどを可能な限り(あえて意識的に)排して、目の前のあるがままの事物と向き合う」態度と言っていいかもしれません。現象学ではこの「エポケー」がとても重要とされています。

 

 医学生時代に、フッサールや「現象学」に強く興味を抱いていた時期がありました。「〇〇とはこうあるべき」「△△をするなら、□□でなければ価値がない」といった(一般論として異を唱えるのは難しいが)心の奥ではどこかで強い違和感のある考えや言葉に振り回されて苦しんでいた時期でした。そうした時、現象学や「エポケー」という言葉に出合い、妙に気持ちが楽になったような、世界に対する向き合い方のヒントを得られたような感覚がありました。

 

 その後医師になり、麻酔科医として仕事を続けていく中で、永田先生の提唱される「実存療法」と出合いました。(永田先生の個人としてのバイタリティやお人柄の魅力はもちろんですが、それに加え)永田先生の考え方や方法論、そして患者さんや医療スタッフに対する姿勢を目の当たりにする中で、私にはそれがハイデガーのいう「実存」よりも、むしろフッサールの「エポケー」という概念にこそ、より深く共鳴する部分が多いように感じられ興味を抱きました。

 

 全人的医療、実存療法…その射程は広く、西洋医学、東洋医学、漢方、精神医学など多岐にわたる知識や技術を必要とします。今の自分にとってその習熟はまだ遠い道のりですが、しかしながら、進んでいく先にきっと、医療者と患者さんとの間の新たな関係性、次の時代に求められる医療の新たな在り方(視座)が見いだせることと信じています。

 

 まずは一人一人の患者さんに対し、「エポケー」の意識で、スタッフとともに、丁寧に接していくことからはじめていきたいと考えています。

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