線維筋痛症によくある質問Q&A

 

 このQ&Aの内容は、当院独自のものです。痛み診療・研究40年の成果です。したがって、必ずしも一般の学会の考え方と異なるところもあります。ご了承下さい。

 

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【疾患概念について】


Q:  線維筋痛症って何ですか?

A:  全身に痛みが起こる病気です。アメリカリウマチ学会(分類基

      準)では、全身18ヶ所の圧痛点のうち、11ヶ所に圧痛点を認め、そ

      れ が3ヶ月以上続く場合を線維筋痛症と言います。この診断では、

      痛みの原因は問いません。



Q:   どうして線維筋痛症になるのですか?

A: 線維筋痛症は、一般的に原因不明と言われています。しかし、そうではありません。

    痛みには、原因疾患が何か必ず、あるはずです。

    急性疼痛の場合、原因は比較的明らかです。たとえば、ケガをして傷を創ったとか、火傷で皮

       膚を損傷したとか、癌細胞が出てきたとか、必ず原因があります。

    慢性疼痛でも同様です。たとえば、血液の循環が悪くなり、全身に十分な血液が流れていない

       ため痛みを感じ始める人もいます。また、低血糖のため、痛みの起こる人もいます。甲状腺

       疾患(橋本病など)のために痛みが起こる人もいます。動脈硬化が原因の場合もあります。し

       たがって、ただ痛みをとるだけではなく、その原因を追及し、治療しなくては本当の治療とは

       言えません。

    しかし、一般に、線維筋痛症は原因不明とよく言われます。それは、原因が、1ヶ所の細胞、

       臓器にはないからです。実は、その患者さん固有の生き様のゆがみにあるからです。生き様と

       は、患者さん固有の身体(からだ)・心理(こころ)・社会(環境)・実存(生き甲斐)要件

       の集合です。

    からだに何らかの問題があり、さらに、なにか心理的トラウマを抱えている方が多く線維筋

       痛症になります。

    痛みは脳が認識します。脳には、さまざまな情報・記憶が潜在しています。痛みの刺激とその

       記憶が交錯し、重複し、痛みを増幅させてしまいます。これが患者さんを苦しめます。

    言わば、心身交互作用です。

    したがって、からだへのアプローチとこころへのアプローチが並行してなさなくては、よい

       治療にはなりません。


Q:   線維筋痛症は、なぜ線維筋痛病ではないのですか?  

A: 線維筋痛とはいいません。痛いという症状がある人は、皆、線維筋痛症です。ですから、

     「症」とは、「症候群」のことです。

    背景には、起立性低血圧や、低血糖、橋本病など多くの疾患が潜在しています。

       痛みの他にも、線維筋痛症の方はそれぞれ身体の弱い部位に症状が出てきます。


Q: 身体のあちらこちらに痛みがくるのはなぜですか?

A: 全身の血液の流れが悪くなったり、代謝が低下したりして、筋肉に発痛物質が溜まり、神経

  を 刺激して発症します。神経刺激は脳に伝わり、様々な過去の記憶と絡まり症状を重くしま

  す。


Q: 冬場は靴下を二重にして、ホッカイロを貼っていますがなかなか身体が温まりません。

  同じような方はいますか?

A: はい。冬の寒い日や夏のクーラーの中で身体の芯がいつまでも冷たい感覚を持つ方は多くい

  ます。線維筋痛症や低血圧の方などに多いです。冷え症です。補剤というからだを温める薬

  剤の使用で改善します。補剤は主に漢方薬です。

  食べ物の工夫も必要です。部屋の温度調整も大事です。

  入浴剤の使用もよいでしょう。

  入浴による温熱効果と水圧による効果が相俟って、痛みをとってくれます。ぬるめの風呂に

  ゆっくりと入り、出るときは少々冷ためのシャワーを足から順に上半身にかけて掛けて出る

  のがコツです。また、出たらタオルで身体を覆い、熱を逃がさないようにしましょう。

 


Q: 家族や友人に痛みを話しても理解してもらえず、話すことを止めたら心が苦しくなります

        が?

A: はい、胸が苦しくて話したくても話せなくなります。話せないのは辛いです。

     そんなときは患者会にお出でください。そこにいるのは皆同じ経験を持った方ばかりです。   

         線維筋痛症は治る病気です。正しく診断治療すれば治ります。繊維筋痛症は機能性病態であ

     り、ガンや心筋梗塞のような器質的病態ではないからです。

     ですから、線維筋痛症によって死ぬことは絶対にありません。

        しかし、痛みを理解してもらえず苦しんだ結果、自殺を招くことがあります。そうならない

        ためにも、自分の病気をよく理解することが最も大切です。


Q: 誰でも線維筋痛症になりますか? 

A:    誰でもという訳ではありません。線維筋痛症は、体質的要因と生活習慣、過去のトラウマが

        相俟って起こります。ですから、線維筋痛症も生活習慣病の一種です。身体を鍛え、基礎体

    力をつけること、生活習慣を糺すこと、生きる意味に向かい行動を起こすことで、コント

    ロールでき、また、予防することが出来ます。


Q: 線維筋痛症は治らないのですか?

A: 治ります。そのためには、正しい診断と治療が必要です。さらに、自身のセルフコントロー

  ルで生活の質(QOL)を高められます。

         私たちの周囲には、こうして社会復帰した患者さんたちが沢山います。

  皆、自己実現しています。


Q: 痛みを感じたくないのでお酒をよく飲んでいます。身体によくないですか?

A: アルコールを摂取すると急激に血圧を下げるため、低血圧の方にはとても危険です。

  また、低血糖の人では、酔いが速く回って倒れたり、意識を失うことすらあります。

  原因がはっきり分かり治療法が明確になって体力が戻ったら、お酒を楽しんでください。

  それまでは、危険です。


【診断について】


Q: 何年も身体のどこかに痛みを感じていましたが、しばらくすると痛みは治まっていたので放

  置していましたが、これは線維筋痛症ですか? 

A:     必ずしも線維筋痛症と特定できません。当クリニックでは様々な検査や問診を通して診断し

         ます。気になるような場合は、受診をおすすめします。

  また、お近くの専門医にご相談下さ い。


Q: 初めて聞く病名ですが、何科で診てもらえますか?

A: 病院によって様々ですが、主に内科や心療内科に専門の医師がいます。線維筋痛症友の会の

        ホームページや線維筋痛症学会に案内があります。


Q: 自律神経失調症で何年も薬(抗うつ剤、抗不安剤)を服用していますが、副作用はありませ

  んか?

A: 抗うつ剤や抗不安剤は、長期にわたる服用は血圧を下げるため、血液循環に影響していま

        す。また、副作用の発現率は高くてなかなか止められません。

  薬に頼らない生活を創りましょう。


Q: 仕事や家庭でストレスを感じていましたが、痛みと何か影響はありますか?

A: 線維筋痛症の痛みを抱える方は、繊細な性格の方が多いため神経が過敏で緊張状態が続く傾

         向にあります。痛みとストレスが脳の中で一緒になると、より大きな痛みとして感じてしま

         います。早めに対策を講じましょう。

     線維筋痛症の一部の患者さんには、虐待歴、いじめられ歴などがあります。こうしたことが

  トラウマになって、痛みが増大します。そうした治療に際しては、発散するのが一番です。

  そのために、当クリニックでは太極拳講座や詩吟講座、患者会でのピアカウンセリングなど

         を設けています。また、専門のカウンセラーによるカウンセリングも受けられます。

  トラウマは、向精神薬だけでは治療できません。



Q: 朝、目覚めると起き上がれないですが、強引に仕事へ行くのはよくないですか?

A: はい、よくありません。線維筋痛症の方は責任感が強いため、自分を限界まで追い込んでし

  まい症状を悪化させてしまうかもしれません。休息をとるときには、充分休息をとりましょ

  う。専門の医師にかかりましょう。


Q:   身体がふらつくのは貧血のためではないですか?

A: 貧血のためふらつくこともあります。線維筋痛症の方は血圧が低い傾向にあり、さらには低

        血糖の可能性もあります。これは検査してみないと分かりません。

        貧血(鉄欠乏性)のために、線維筋痛症を起した方もいます。しかし、多くの場合、低血圧

        や低血糖がその原因です。


Q: 低血糖とはどんな症状が表れますか? 

A :   糖尿病の治療薬やインスリンを使用したことがないのにも関わらず、低血糖症状を起す方が

       います。よくある症状は、食後の眠気、食後の疲労感、頭痛、動悸、冷や汗、四肢のしびれ、

       イライラや不安感、集中力の低下、物忘れ、ケイレン発作などです。

    背景には、朝ご飯を食べない、どか食いをする、3食食べない、食事の時間がない、好き嫌い

       が多い・・・などの食習慣の乱れがあります。


Q: どうしたら低血糖だと分かりますか? 

A:    75gOGTTという、糖負荷試験を実施します。3時間から5時間かかる検査です。サイダーのよ         うな甘いジュースを飲み、血糖値、インスリン値の変動を調べます。その他、インスリン抗              体、グルカゴンなどの検査をすることもあります。

        血糖値の変化、インスリン値の変化を観察して、総合的に診断します。

        皮膚にセンサーを貼り、24時間の血糖値を診る方法もあります。


Q: 低血圧の人は低血糖ですか? 

A: 低血圧と低血糖、低体温は相関します。そのメカニズムは充分には分かっていません。

  しかし、低血圧状態が長く放置されると低血糖を招くようです。

  詳細な診断が必要です。


Q: 低血糖とは重病ですか?どうしたらいいですか?

A: 低血糖は放置すると、命に触ります。脳は、ブドウ糖しか栄養源に出来ません(外に、中鎖

        脂肪酸も可)。したがって、低血糖では脳に障害を創ります。低血糖が遷延すると、植物状

        態になることすらあります。早期診断、早期治療が必須です。


Q:   食欲がなく、食べたいものが分からず、何がしたいか分からなくなりますか?

A: 症状の一つに食欲不振があります。注意散漫になったり、思いと行動が伴わず自分でも分か

        らない状態になることもあります。そのためにも正しい診断が必要です。正しい診断に基づ

        いた正しい治療でこうした症状は解決します。


Q: うつ病と診断されましたが、線維筋痛症と症状は似ていますか?

A: はい。線維筋痛症は診断が難しいため、症状が悪くなるとうつ病や統合失調症と間違えられ

        やすいです。しかし、専門医が見ればよく分かります。

  あなたのことをよく理解してくれる医師を見付けてください。

  身体の病気を心の病気と間違えることを「身体因性偽神経症」と言います。線維筋痛症や低

         血圧、低血糖が代表疾患です。これは、言わば、誤診です。

  正しい診断が必要です。


Q:     線維筋痛症は病状が悪くなるとどうなりますか?

A: 筋痛性脳症/慢性疲労症候群(ME/CFS)重篤な疾患になることがあります。疼痛、疲労、睡

  眠障害などさまざまな症状が出ます。低血糖もその一つで脳が障害を受けて、認知障害、記

         憶障害、けいれんなどの中枢神経症状が出たりします。


Q: 身体が痛むので、内科、整形外科、婦人科、耳鼻咽喉科、歯科と行きました。しかし

  痛みの原因が分からなく医師を信用できません。痛みの原因はストレスですか?

A: 慢性の痛みの原因は、その人固有の生き様のゆがみです。生き様とは、その人の生活そのも

        のです。ストレス(トラウマ)もその一因でしょう。ストレスが痛みを助長している可能性

        はあります。痛みと向き合い、生き様を変える知恵を身に付けることです。患者会はそのた

        めに設けた会です。


Q: 血圧を測れば線維筋痛症だと分かりますか?

A: アメリカリウマチ学会の決めた圧痛点の検査とヘッドアップティル ト試験など、色々な検査           をしないと分かりません。血圧の評価は最も重要です。血圧を寝た状態で3回測定、立った状           態で5回測定します。特殊な測定器を使います。 


【治療について】


Q: どうしたら痛みが治まりますか?

A: 痛みの原因を精査し、それを見出し、それを治療することで、完治します。

        まず、病態の正しい理解をすることです。続いて、生活の仕方にどのような問題があるかを

        よく認識することです。その上で、薬剤を使用します。主に、血圧を上げる薬剤や、心臓の

        ポンプ機能を上昇させる薬剤などを使用します。神経ブロック、鍼灸、漢方薬、呼吸法など

        様々な方法で、鎮痛医療を行います。向精神薬(抗うつ剤や抗てんかん剤など)は、原則と

        して使いません。患者さんにとって、使用によるメリット(効果)がデメリット(副作用)

        を遥かに上回ると考えられた時にしか使いません。麻薬類も原則として使いません。

        きちんとした原因療法を行い、患者さんが痛みから解放され、自己実現を果たすには、薬に             頼ってはいけません。病態をよく知り、それに見合った治療をしましょう。

        治療法は極めて個別的です。

 


Q: 身体が疲れて充分に休んでも回復しません。どうしたらいいでしょうか?

A:    痛みを感じて常に精神的にも肉体的にも緊張状態が続いています。その緊張を解く必要があ

       ります。トラウマがあると、それは一層ひどくなります。また、身体的には、心臓のポンプ

       機能が低下していると簡単には治りません。

       あなたに合った、正しい、充分な治療が必要です。


Q:   通院のため、10種類の薬を服用しています。どの薬が効いているのかわかりません。

       どうしたらいいですか? 

A:   主治医とよく相談して、薬を減らしてもらいましょう。薬が多ければ良いというものではあ   

       りません。また、薬には、すぐ止められるものばかりではありません。

    突然止めると、離断症候群というリバウンドを起すものもあります。

       主治医によく相談してください。


Q:   どうしたら線維筋痛症を予防できますか?

A: 生活をゆとりのあるものにすることです。

  基礎体力を身に付けることです。

  安静をとるときは充分にとりましょう、しかし、動くときは充分に身体を動かしましょう。

  適度な睡眠、食事、運動のバランスが大切です。

  充分なリラクセーションも必要です。

  過去にとらわれずに、前向きに生き、自分の人生の意味を充分に考えることです。

  こうした生活を送っていれば、線維筋痛症には成りません。


         診療時間: 平日 10:00 ~ 17:00

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